このページでは、会社設立の基礎知識から全体像を解説します。
ご不明な点があれば、ぜひともご連絡ください。
会社設立の方法や仕組みについて
ここでは、まずどのような会社形態にしていくのか解説いたします。
会社と言っても、様々な形態や組織図、さらに資本金の問題や事業内容など、様々な問題があります。
以下、「株式会社」を例にとりながら、会社設立について解説させていただきます。
会社の機関を設計する
会社機関は、取締役会を設置するかどうか決めることで変わります。
取締役会は、取締役の数が3名以上の場合に設置可能です。
小規模な会社であれば、取締役を1名として、取締役会を置かず、監査役も設置しないのが一般的です。
会社の商号を決める
商号とは、会社名のことです。 原則として商号は自由に決めることができますが、以下のことに注意してください。
◇株式会社の商号には、「株式会社」と言う文字を商号中に入れる。
◇使用できる文字には制限があります。使える文字は、漢字、ひらがな、カタカナ、「&」、「’」、「,」 、「-」、「.」、「・」などの記号、ローマ字やアラビア数字です。
◇他の会社と明らかに誤認させるような商号は登記できません。
なお、商号は、同一住所に同一の会社がなければ商号登記ができます。
ただし、不正競争防止法や商標法の観点から、紛らわしい商号は注意が必要です。
したがって、商号を決めるとき、法務局で類似商号の調査をする必要があります。
会社の目的を決める
目的は、会社の事業内容を箇条書きにします。
会社は定款の「目的」に書かれている事業だけを行います。
定款の「目的」に書かれていない事業をする場合には、定款を変更して変更登記申請も必要になるため、「前各号に付帯関連する一切の事業」という一文を定款の「目的」に書き加え、融通がきくようにしておきます。
事業目的は、とにかく並べて書けばいいというものではありません。
必要も無いのに「金融業」などを事業の目的にすると、銀行から融資を受けれない場合もあるようです。
商号は、お客さんや利害関係者に配慮するなら、やはりある程度具体的な記述が望ましいといえます。
許認可事項を確認する
事業内容を決める際に、その事業を行うのに許認可が必要かどうかチェックする必要があります。
許認可が必要な場合には、会社を設立後に許可申請をし、許可が下りてから営業ということになります。
許認可が必要な場合、必要な事業を会社目的に追加する必要な場合もあるため、要件を所轄官庁と打ち合わせする必要があります。
なお、当司法書士事務所は、代表が行政書士でもあるため、許認可のチェックや、許認可の代行申請まで対応させていただいております。
本店所在地を決める
本店所在地とは、会社を置く住所です。
登記申請は本店を管轄する法務局に申請する必要があります。
発起人を決める(発起設立の場合)
会社を設立しようとする人で、自ら出資をおこなう人のことを発起人といいます。
発起人は一人でもかまいません。
通常は、発起人が、取締役になります。
出資額を決める
発起人がいくら出資するのか決めておきます。一般的にはこの合計が資本金になります。
取締役の任期を決める
基本は2年ですが、株式譲渡を制限する会社であれば、最長10年まで伸長できます。
一株の発行価額を決める
発行価額は自由に決めれることができますが、計算の簡便性から1万円か5万円にするケースが多いです。
発行可能株式総数を決める
公開会社は、設立時発行株式の4倍まで発行可能株式総数とすることができます。
公告の方法を決める
最もコストがかからない方法として、官報によることがほとんどです。
インターネットで公告する方法もありますが、調査会社による調査があるため、費用が余分にかかるおそれがあります。
通常は、官報公告にするのが良いでしょう。
定款の作成・認証手続き
設立する会社の基本事項が決まったら、次に定款の作成に入ります。
定款の用紙など
定款は一般的にA4サイズの用紙で作成します。
定款が完成したら、ホッチキスで止めて、全てのページに契印します。
そして、最後に発起人全員で記名押印します。
定款に記載すること
定款の記載事項は、「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3つに分かれます。
☆絶対的記載事項
定款には、下記の事項を必ず記載します。
・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
・発起人の氏名または名称および住所
・設立に際して発行する株式の総数(後で決めてもよい)
・公告の方法(決めない場合は、官報公告になる)
☆相対的記載事項
絶対的記載事項ではないが、記載することで「法的な効力」が生じる事項のことを、「相対的記載事項」といいます。
・現物出資者の氏名、財産の内容、評価額、出資に対して与える株式数
・会社設立後に譲り受ける財産の内容、価額、譲渡人氏名
・設立費用
・設立時の取締役や監査役、代表取締役の氏名
・取締役会、会計参与、監査役を置く旨
・役員の任期を伸ばす旨
・株主総会の招集期間の短縮
・役員の責任の減免に関すること
☆任意的記載事項
法令に違反しない限り、会社の実例に合わせて記載できる事項です。例えば、以下のようなものがあります。
・定時株主総会の招集時期
・決算期に関する規定
このほかにも、公序良俗に反したり、権利侵害になるようなことでなければ、どんな事項も記載できます。
電子定款について(重要)
定款認証を紙定款で認証を受けるのではなく、電子定款で認証を受けることにより、印紙代費用が4万円安くなります。
従って、現在は電子定款で認証を受けるのが主流です。
ただし、電子定款認証を受けるためには、「電子署名用のソフト」、「電子証明書作成ソフト」、そして「PDF作成ソフト」が必要になります。
PDF作成ソフトは、電子署名に対応している必要があり、一般にはAdobe社のAcrobat Standard(バージョン6.0以上)を使います。
全てのソフトをそろえるためには、7万円以上のコストがかかります。
従って、PDF作成ソフト等をお持ちでない限り、電子定款を使うと逆に費用が高くついてしまいます。
ここで、司法書士などの専門家に依頼するメリットがあります。
専門家に依頼することにより、印紙代4万円を節約できます。
さらに、定款の作成と認証手続にかかる時間と労力を軽減できます。
定款の認証を受ける
定款認証の準備が整ったら、公証人役場へ行って定款の認証を受けます。
受理されると、3通のうち1通に収入印紙を貼り(電子定款であれば不要)、消印します。
印紙を貼った定款は、公証人役場に保存される原本になります。
あと2通は返却され、1通は設立登記申請の際に登記所へ提出します。1通は会社保存用です。
出資金の払い込み手続き
出資金の払込みをする
定款の認証が済んだら、出資金の払込みを発起人の個人口座に入金します。
払込みの時期は、定款認証後に行います。
定款認証後の振込み、入金でないと出資金とはなりません。
また出資者が2人以上いる場合は、それぞれの出資金ごとに分けて、代表となる取締役の通帳に記載されるように入金します。
入金が済んだら記帳をします。
払込証明書を用意する
払込みが済んだら、払込証明書を作成します。証明書には、以下の項目を記載(押印)します。
☆設立時発行株式数・・・出資金÷1株あたりの発行価額です
☆払込を受けた金額
☆1株の払込金額
☆払込みをした年月日です
☆会社の商号
☆設立時取締役の氏名と法人実印
証明書と、通帳のコピー(金融機関名、口座名義人、振込金額が確認できるページ)を添付し、ホチキスで止めます。 継ぎ目は法人印で契印します。
払い込み金額は、わかりやすいようにマーカーをひきます。
会社設立登記の手続き
設立登記申請には、以下のような書類が必要になります。
☆株式会社設立登記申請書
☆登記事項の入った磁気ディスク、もしくは登記事項を記載した「登記用紙と同一の用紙」
☆定款
☆発起人の同意書
☆設立時取締役の就任承諾書
☆設立時取締役の選任及び本店所在地決議書
☆印鑑証明書
☆払込証明書
☆印鑑届書
※非公開会社で標準的な会社設立の場合です。会社形態によっては、添付書類が異なります。
登記申請書を用意する
登記申請書には、以下の事項を記入します。
☆商号
☆本店
☆登記の事由
☆登記すべき事項
☆課税標準金額
☆登録免許税
☆添付書類
☆印紙台帳
申請日について
会社設立登記の申請書類を登記所に提出した日が「会社設立日」になります。
法人の印鑑証明書を取得するために必要になる「印鑑カード」の交付申請手続きも、申請日におこなってしまうと便利です。
会社設立後の手続き
会社が設立したら、各官公署へ法人設立の届出を行います。なお、法人の銀行口座開設も、会社設立後に行います。
官公署 | 必要な書類等 |
---|---|
税務署 | 定款のコピー、登記事項証明書(登記簿謄本) |
市町村役場 | 定款のコピー、登記事項証明書(登記簿謄本) |
都道府県税事務所 | 定款のコピー、登記事項証明書(登記簿謄本) |
社会保険事務所等 | 定款のコピー、登記事項証明書(登記簿謄本) |
労働基準監督署 | 従業員がいる場合 |
公共職業安定所 | 従業員がいる場合 |
なお、必要な書類等は、地域の官公署によって異なる可能性があるため、事前確認が必要です。当司法書士事務所は、各種専門家とも提携しているため、ご不明な点があればお気軽にご相談下さい。